主な登場人物・キャスト(ネタバレ含む)
| 役名 | 演者 | 役割 |
|---|---|---|
| Hallie Knudsen(ハリー・ニュードセン) | Julia Goldani Telles(ジュリア・ゴルダーニ・テレス) | 主人公に近い高校生。妹リジーがいる。友人グループの中心人物。 |
| Wren(レン) | Joey King(ジョーイ・キング) | Hallie の友人。怪異(Slender Man)について積極的に調べる。 |
| Chloe(クロエ) | Jaz Sinclair(ジャズ・シンクレア) | 友人グループの一員。軽いノリで怪異に関わり、巻き込まれる。 |
| Katie Jensen(ケイティ・ジェンセン) | Annalise Basso(アナリーズ・バッソ) | グループの1人。物語前半で失踪。 |
| Lizzie Knudsen(リジー・ニュードセン) | Taylor Richardson(テイラー・リチャードソン) | Hallie の妹。物語後半で重要な位置に。 |
| Tom(トム) | Alex Fitzalan(アレックス・フィッツアラン) | Hallie の恋愛対象で高校の同級生。モブも近いが、怪異に触れ物語に影を落とす。 |
| Slender Man(スレンダーマン) | Javier Botet(ハビエル・ボテット) | タイトルの怪異。都市伝説の具現。高校生たちを恐怖に陥れる存在。 |
主な関係性
- Hallie と Lizzie:姉妹。終盤、妹LizzieがWrenの手によって Slender Man への“貢物”にされて、Hallieは決断を迫られる。
- Hallie, Wren, Chloe, Katie:高校生の女子友人グループ。この4人が儀式によって怪異に触れてしまう。
- Hallie と Tom:恋愛関係に発展しそうな関係。Tomも怪異に影響される。
- Katie の失踪が物語の発端:Katie が Slender Man によって消えたことが全ての始まり。
- Slender Man と高校生たち:Slender Man は直接的・間接的に彼女たちを標的にし、最終的にHallieが自己犠牲で妹を救う。
相関図イメージ
4人の女子高校生(Hallie,Wren, Chloe, Katie)が、興味本位で行った“Slender Man 召喚の儀式”をきっかけに怪異と関係を持ってしまいます。
その後、Katie の失踪を皮切りに、仲間たちも次々と幻覚や恐怖に支配され、やがてHallie の妹Lizzie までもが標的となる。
最終的にHallie は妹を守るため、自らSlender Man のもとへ向かい、自己犠牲によって終息へ導く――そんな関係構図になっている。
あらすじ(ネタバレ含む)
以下、冒頭から結末までの流れ
- 導入:召喚(喚起-evocation)の夜
舞台はマサチューセッツ州の小さな町。高校生の Hallie、Wren、Chloe、Katie の4人は仲良しグループ。
男子グループが何やら“秘密の儀式”を企んでいるという噂を聞いた彼女たちは、ある夜、興味本位で 先んじて“Slender Man を喚ぶ動画” を再生してしまう。
冗談半分だったが、それがすべての悲劇の始まりだった。 - 消失と異変の始まり
翌週、学校の課外活動として墓地見学に出かけたKatie が、森の木の陰に何かを察知して動揺し、その後なんと忽然と消えてしまう。クラスメートや警察が捜索するが手掛かりはない。
他の3人(Hallie、Wren、Chloe)は Katie が Slender Man の“喚び出し”を試みていたこと、そのために身近なものを失っていたことを知り、ただの都市伝説では済まされない状況に陥る。 - 調査と儀式
Wren は Slender Man について独自に調べ始め、古い映像記録や被害者の証言から、感染や呪縛といった要素を発見する。彼女は仲間に対し、「儀式に参加してはいけない。目を開けてはいけない」と警告を発する。
それでも 3人(Hallie、Wren、Chloe)は、行方不明になった Katie を取り戻すため、チャットで接触していた “AleeyCat93”(後に Slender Man の支援者であることが判明)からの指示に従い、森で“特別なものを捧げる”儀式を決行する。捧げ物には、大切にしていたぬいぐるみや個人の思い出の品などが選ばれた。
しかし、恐怖に耐えきれなくなった Chloe が途中で目を開けてしまい、Slender Man と直接対峙してしまう。彼女はいったん家へ戻るものの、次第に正気を失い、やがて Slender Man が家の中にまで侵入し、彼女を追い詰めていく。 - クライマックスと犠牲
Hallie の妹・Lizzie がパニック発作を起こして入院してしまう。Hallie は Wren や Chloe の異変、そして自分の妹までもが巻き込まれたことに深い責任を感じる。
しかし、実際には Lizzie が Slender Man の呪いに巻き込まれたのは、Wren が彼女を“捧げ物”として差し出してしまったためだった。真実を知った Hallie は激しく動揺し、Wren を問い詰める。
その後、Wren は罪悪感と恐怖に追い詰められ、ついに Slender Man に捕らわれてしまう。
Hallie は妹を救うため、自ら Slender Man に身を捧げる決意を固める。森の中で彼を呼び出し、「どうか私を連れて行って」と訴えると、Slender Man の触腕が伸び、Hallie を絡め取る。やがて彼女の身体は大木と融合し、ゆっくりと樹木の一部として同化吸収されていくのだった。 - 結末と余波
Lizzie は病院で目を覚まし、姉たち(Hallie&Wren)を失った現実を受け入れざるを得ない。生き残った彼女は、起きた出来事を振り返りつつ、何が起きたのかを深く考える。Hallie らの犠牲により妹は救われた形だが、4人が巻き込まれた恐怖と謎は拭いきれないまま終わる。
感想・レビュー
Amazon プライム・ビデオでレンタル100円だったので
アメリカ発の都市伝説「スレンダーマン(初出2009年)」比較的歴史の浅い“新造の怪異”です。
海外ではインディーズを含め、スレンダーマンを題材にした作品が数多く存在しますが、日本語版のソフトは意外と少なく、有名どころでは『スレンダーマン 奴を見たら、終わり』と『スレンダー 長身の怪人』くらいしかありません。
今回は、Amazonプライム・ビデオでちょうどレンタル100円だったこともあり、『スレンダーマン 奴を見たら、終わり』を鑑賞。
かつてレンタルビデオ店で“旧作100円ホラー”を漁っていた頃を懐かしみながら、オンライン動画を再生しました。
未見のホラー映画が100円なら――とりあえず借りてみない手はありません。
モキュメンタリーではなかった
スレンダーマン系の映画といえば、「POV(Point of View/主観映像)」を多用したモキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)形式を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし本作は、その路線ではなく、普通のストーリーテリング型ホラーです。
ネット上の怪異を呼び出してしまった4人の女子高生が次々と狙われていく――という、いわば典型的な構成。王道ホラーとも言えますが、裏を返せばどこか“昔ながらの古臭いノリ”を感じさせる作品でもあります。
劇中の Slender Man は、積極的に直接襲ってくるタイプではなく、夢や幻覚、奇怪な現象などを通じて、じわじわと獲物の精神を蝕む存在。
この“正気を削る系”の地味で陰鬱な展開は、個人的にはあまり好みではなく――正直、途中で少し眠くなってしまいました。
地獄からの使者スレンダーマッ!
スレンダーマンとは、いわばウイルス的、あるいはミーム的存在です。
ジェームズ・フレイザーが『金枝篇』で提唱した“感染呪術”の概念にも通じるもので、その姿を一度でも見た者は、視覚を経由して精神が汚染され、やがてスレンダーマンの虜囚となります。
彼は、呪的なつながりを通じて対象の精神に干渉し、悪夢や幻覚によって追い込み、正気を少しずつ蝕んでいく――いわば、SAN値(正気度)を削るタイプの怪異、あるいは神性的存在です。
精神が限界まで崩壊した者は、最終的にスレンダーマンによって森へと連れ去られる運命にあります。
そう考えると、序盤でケイティが突然姿を消す展開はやや唐突にも感じられますが、残された3人の情緒を不安定にし、“心理的感染”を進行させるための布石と考えれば、納得できる構成と言えるでしょう。
スレンダー病(Slender Sickness)
スレンダーマンを見た人間は例外なく「スレンダー病」と呼ばれる状態を発症するとされています。
これは医学的・臨床的な意味での病気ではなく、むしろ“呪的感染症”に近いものです。
スレンダーマンの“被害者に見られる兆候”として、以下のような症状が挙げられます。
- 頭痛・めまい
- 鼻血
- 記憶喪失・夢遊状態
- 幻覚・幻聴
- 精神錯乱
- 自傷行為
ただし、スレンダーマンとは“取引”のような関係も成立するようです。
自分にとって最も大切なものを差し出すことで、失踪を免れる場合があるとされます。
また、スレンダーマンを信奉し、新たな獲物を差し出す“協力者”となることで、連れ去りを免れるケースもある――そんな設定も一部では語られています。
スレンダーマンって……
無貌にして長身痩躯の黒衣の男というルックスから、どうしてもCthulh神話のNyarlathotepの化身を連想してしまうのは、私だけでしょうか?
人間の精神を弄び、恐怖で崩壊させてから奪う――トリックスター気取りのこの回りくどさも実にそれっぽい。
背中から伸びる黒い触腕など、造形的にも近いものがあるんですよ。
ほとんどがCGで、汁気が少なくあっさり風味
ハリーの腹部が膨れ上がり、胎内からスレンダーマンの両手の鉤爪が皮膚を裂いて出現する悪夢のシーンや、クライマックスでハリーの体内に触腕が潜り込み、最終的に同化してしまう描写など――それなりに“グロい見せ場”は用意されています。
しかし、どのシーンもほぼCGで処理されており、ホラー的なサービスカットとしてはかなりあっさり目です。
80年代の、グロシーンだけ妙に気合の入ったB級以下のホラー映画のように、血糊がダバダバで汁気たっぷり、肉片が飛び散りハラワタが撒き散らされる――そんな“汚らしいゴア表現”を期待して見ると、あまりの淡白さに肩透かしを食らうでしょう。
もっとも、本作はそうしたスプラッター路線ではなく、あくまで心理的な演出を重視したタイプのホラー映画として見るべき作品です。
まとめ:個人的には詰まらなかった
Z級ホラーでも最後まで観る派として完走しましたが、やはり全体的に淡泊。特別に出来が悪いわけではないものの、PG-13指定が足を引っ張ったのか、全体的に“もう一歩”足りない印象の作品でした。
「興味本位で忌避されるものに自ら関わり、最終的に自業自得の末路を迎える」という系統のホラーは、登場人物たちがどんな目に遭っても因果応報に過ぎず、どうにも感情移入しにくいものです。
かといって「早く死ねばいいのに」と思えるような嫌なキャラもおらず、その分そいつが犠牲になったときの“ザマァ的カタルシス”もない。結果として、淡々と話が進み、気づけば終わっていた――そんな印象を受けました。
都市伝説系ホラーは、その題材の知名度ゆえに期待して見ると、“名前負け”していたり、コレジャナイ感だけが強く漂う作品が多いですが、本作も残念ながらその一つでした。
とはいえ、スレンダーマンの干渉描写(悪夢・幻覚・怪奇現象など)はよくできており、Jホラー的な心理・心霊ホラーが好きな人には、一定の見どころがあるかもしれません。
関連作品
まだ見ていませんが、興味があるのでいずれ鑑賞したいスレンダーマン関係の映画です。
- スレンダー 長身の怪人/(別題)都市伝説:長身の怪人(原題:Always Watching: A Marble Hornets Story/2015/米)
日本語版映像ソフトあり。 - ビーウェア・ザ・スレンダーマン/(原題:Beware the Slenderman/2016/米)
ドキュメンタリー作品。日本語版なし。 - ザ・フォロワー:ザ・スレンダーマン・ドキュメンタリー(原題:The Follower: The Slender Man Documentary/2013/豪)
同じく日本語版なし。
作品の基本情報
| タイトル | スレンダーマン 奴を見たら、終わり/(原題)Slender Man |
|---|---|
| 公開年/製作国 | 2018年(制作)/アメリカ |
| 監督・脚本 | シルヴァン・ホワイト(監督)/デヴィッド・バーク(脚本) |
| キャスト | ジョーイ・キング/ハビエル・ボテット/ジュリア・ゴールダニ・テルズ/アナリス・バッソ/ジャズ・シンクレア/テイラー・リチャードソン/ケヴィン・チャップマン ほか |
| 上映時間 | 93分 |
| ジャンル | 都市伝説系ホラー |
| 視聴環境 | Amazon プライム・ビデオ(レンタル100円) |
補足・考察
本作は、2009年にインターネット掲示板「Something Awful」で誕生した都市伝説“Slender Man”を題材にしたホラー映画。
制作時、スタジオ側がPG-13指定に変更を求めたため、残酷描写や心理描写の多くがカットされたといわれており、評価は芳しく無く、結果的に“雰囲気ホラー寄り”の構成になっている。

